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[TFE]本編・特典とも英字幕有!ベネディクト・カンバーバッチ主演『The Fifth Estate』US版BD詳細

先月末にUS版Blu-rayが発売になった、ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジをベネディクト・カンバーバッチが描いた映画『The Fifth Estate』。

悲しいことに、現時点では『The Fifth Estate』の日本公開、日本版DVD発売はありません(決定事項)。どこかのメーカーがDVD販売権を獲得して日本版DVDを出してくれたらよいのですが…海外での興行成績がかなりひどかったことと、作品としての出来は、一般的には必ずしも良いとは言えなかったことで、配給会社がさっさと視野外に出してしまった模様。ベネディクト・カンバーバッチの人気を期待してファン対象に出すにはちょっと割高なのかも?と邪推してみたり(苦笑)

しばらくは英米版DVD/BDで観るしかないようなので、まずは手元にあるUS版Blu-rayの詳細をご紹介。

The5thestate_usbd

US版はブルーレイ(リージョンフリー)とDVD(リージョン1)のコンボセットです。

本編・特典共に英語字幕あり。音声は、英語・スペイン語・フランス語。日本語音声や字幕は一切ありません。

特典メニューは次の5つ。

  1. The Submission platform: visual effects (10分25分)
  2. In-Cinema: Graphics(6分25秒)
  3. Scoring secrets(9分11秒)
  4. Trailers&TV Spots
    • Theatrecal trailer
    • Titles
    • Button
    • Estate
    • Decide
    • Critics review
    • Untold story
    • You are the revolution
  5. Info(インタビューはそれぞれの意見でスタジオには属しませんの定番断り書き)

以下、一部ネタバレを含みますので、本編鑑賞まで何も知りたくない方はご注意ください。

1つ目の「The Submission platform: visual effects」でビル・コンドン監督が最初にはっきりと口にしたのが、「これはドキュメンタリーではない」という言葉。

この作品はあくまでも非公式バイオ本 (元アサンジの右腕とウィキリークスと共に大スクープをリークしたガーディアンのデヴィッド・リー&ルーク・ハーディングが書いた本)を元にしていると言われており、アサンジ本人を生い立ちから追いかけてまとめあげたものではなくて、フィクションです。

ウィキリークスを象徴するのに、監督達はだだっ広い事務所に机がたくさん並び、1つの机に1人の人が机上のPCを触っている映像を考え出しました。果てしなく続くように見える事務所空間、数えきれない机とPCと人。それが、ありとあらゆるところから情報が集まる“ウィキリークス”のイメージ。

この空間が、結末ではすべて破壊されて砂と灰で覆われた地面の上にアサンジが呆然と立ち、黒こげになったり端にまだ火が付いた無数の紙が舞うのを見ているものになります。

最初の特典映像ではこれを映像化するための技術的な挑戦の詳細や、スタッフがスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」を見たことなども話されています。

2つ目の「In-Cinema: Graphics」では、PCをコミュニケーションの手段として使う登場人物に合わせて、画像はめ込みではなく、本当に彼らのやり取りがPCモニター上に表示されるように専任チームを作った話が説明されています。

指定されたキーを叩けば、画面が切り替わり、次のシーンで映るべきものがモニター上に出てくる。技術チームが頑張って作りこんだようです。

彼らは映し出されるPCモニターにも各キャラクターを反映させるようにしており、アサンジとダニエルのコア・カラーを決めて統一したとの事。

モニター上の文字が全て青いのがアサンジのPC、緑なのがダニエル。←これが分かると、画面しか出てこないカットでも、誰の視点なのかが一発で分かります。

3つ目の「Scoring secrets」はスコア(映画音楽)について。カオス・コンピュータクラブで流れる音楽、アサンジの子供時代に流れる音楽、映画の最後で流れるストリングスの音楽など、音楽監督があれこれと説明。管理人は音楽には疎いのでここは説明できません(^_^;

4つ目「Trailers&TV Spots」は文字通り、予告編とテレビCM集。もっとたくさんあったように思うのですが、アメリカで流れたものが集約されている気配。

ねっとりとした独特のアクセントで話すプラチナブロンドのベネディクト・カンバーバッチ。貴公子だとか美男だとかそういう言葉はちょっと当てはまらないような(笑)

役者が悪いわけでも撮り方がいまいちなわけでもないと思うので、問題はやはり脚本でしょうか。前半の、ウィキリークスがスイスにある銀行のネタを暴き、「庶民を蔑ろにし、富裕層だけがいい思いをしている」事態を白日の下に晒したあたりはスリリングで拍手喝采したくなるような空気もあります。

ただ、結末に向かってどんどん崩れていくというか、グダグダになっていくというか…

実際、元となっているダニエル・ドムシャイト-ベルグ作の「ウィキリークスの内幕」も、これはダニエルの視点から書いているので当然ではありますが、アサンジとの軋轢や彼への失望などでウィキリークス内部がどんどん崩壊していき、遂にダニエルはウィキリークスをストップさせる行動に移るので後半はダニエルの「アサンジよ、どうしてそうなったんだ!」という心の叫びがメインとなっています。でも、そのグダグダをそのまま脚本化して映像化するのは、映画としてはまとまりが悪いかな?と個人的に感じました。

最終的にアメリカ合衆国の軍事活動等に関する巨大な情報リークを巡り、それを公開するかしないかでアサンジとダニエル達は対立します。情報をリークするのはボタン1つで簡単な作業でも、その結果、その情報を集めるために動いている数千の協力者の命が危険に晒される。アサンジは、関係者の生命には興味がなく、ただ「情報を暴く」ことだけを重要視し、「隠された情報を白日の下に晒す力を与えられた自分に酔っている」ように見え、ダニエル達は情報曝露が引き起こす結果の大きさに、曝露を躊躇する。

「マスクを与えれば、人々は真実を語る」とは言え、情報を握る者はそれだけの責任を負うべきでもあるのでしょう。

アサンジの傍若無人ぶり、ダニエルの優柔不断ぶり(アサンジに惚れ込み、盲目になっているので拍車がかかる)をまったり楽しむと面白いかもしれません。アサンジのタコ踊りにもご注目(笑)

台詞は勿論のこと、画面にも所狭しと目いっぱいの情報が表示されるので、英語だけで観るのは人によっては少々辛いかもしれないです。例え日本版DVDが出ても、すべては字幕化されないような気がする文字量でした(これは、製作陣の意図でもあるようです)。

管理人はこのベースとなった本を読んでから観たので、白紙で観るよりは話に付いて行きやすかったように思います。

ベネディクト・カンバーバッチの出演作という意味で興味のある方にはお勧めの作品です。

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