NT LIVE日本初上陸を飾る作品『Frankenstein/フランケンシュタイン』は、ベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーが2人のメインキャラクターを毎日入れ替わりで演じる、珍しい演出の舞台作品でした。
2011年3月撮影。The National Theatre内部には、上映中/これから上映の作品が↑このように大きく展示されています。
今回、ようやくのNT LIVE『Frankenstein/フランケンシュタイン』日本上映が叶いましたが、ロンドンのNT Archiveに行くとこの舞台映像を鑑賞することが可能で、さらに様々な資料を見ることも出来ます(NT Archiveは予約制。詳細は別記事でまとめて説明予定)。
舞台は鑑賞済みなので、前回は映像と一緒に貸し出してもらえる資料を細かく見てきました。特に興味深かった点を勝手にピックアップしてレポートしようと思います。
※舞台『Frankenstein/フランケンシュタイン』のネタバレを含みます。2014.02.14-16、2014.02.21-23のTOHOシネマズでの上映まで何も知りたくない方はご注意ください。尚、管理人は両バージョンを何回か観ています。
★ネタバレ注意★
照明スタッフ、衣装スタッフ、食べ物スタッフなど様々な形で舞台を支える人々が使った資料やメモが元です。
この記事は「衣装スタッフ編」。
主役2人を担当する衣装スタッフのメモより。ベネディクト・カンバーバッチがthe Creature、ジョニー・リー・ミラーがVictor Frankensteinを演じた回。
※BC=ベネディクト・カンバーバッチ、 JLM=ジョニー・リー・ミラー
※ベネディクト・カンバーバッチをメインにチェックしたので、ジョニー・リー・ミラーだけに関する部分は省いていることがあります。メモ通りではなくまとめている場合があります。
※時系列順(最初に→準備→上演中→終演後)です。
※個人的にツボだった部分や個人的な感想・ツッコミを太字や色文字にしています。オリジナル資料にはそのような強調はありません。
まず冒頭に次の2点が。
- このshowでは黒い服を着ること
- dressingエプロンを着用すること-衣装替えの際に便利
PRESETの前に列記されている衣装。
<洗濯済み籠から>
- BC
- マイク・パックが前後に付いている黒のボクサーショーツ
- JLM
- ネイビー・ブルーのspeedos(JLMがcreatureを演じる次のshow用)※speedoは男子競泳用のブリーフ型水着。水着メーカーSpeedo社名から一般名詞として使われるようになった)
- 黒のボクサーショーツ
- 黒の靴下、マイク、ベルト
- 黒のTシャツ、油脂加工した羊の皮のミトン手袋、黒の皮手袋
ミュージカルなどと違って、俳優の顔にマイクは見当たりません。マイクは服(というか下着?)に仕込まれている様子。
<洗濯済みレールハンガーから>
- BC
- 黒のドレッシング・ガウン
- ラベンダー色のまだらになっているズボン(Lavendar flecked trousers)
- JLM
- 前にプリーツがある白いくたびれたシャツ
- 前にプリーツがある白いシャツ
- その他Victorに必要な衣装のリスト
<アイロンがかかっている衣装のレールハンガー>
BC:襟が薄灰色で縁取られている赤/茶色のマント、海緑色のシルクのシングル・ベスト
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・ベネディクトのドレッシング・ガウンをメイクアップ室(202)に持って行く。彼はそこで“Creature”メイクを終えている。彼が足首のサポーターを持っているか確認すること。
・衣裳部屋に行ってpresetに必要なものを集めてくる(ステージにすべてを運ぶためにレールハンガーが必要になるだろう)
足首のサポーター…the Creatureの演技は身体にものすごく負担がかかるもので、身体がボロボロになったとベネディクトもインタビューでよく話していました。サポーター必須だったのですね。それをチェックするのが衣装スタッフの仕事だったとは(笑)
【PRESET】
- 上手:BC
- 黒のボクサーショーツ(前後にマイク・パック付)
- ラベンダー色のまだらになっているズボン
- 暗いラベンダー色の麻シャツ(音響スタッフのTashが既に用意してくれている)
- 下手:BC
- 海緑色のシルクのシングル・ベスト
- 緑のチェック模様のウール・ショート・テイル・コート(音響スタッフのTashが既に用意してくれている)
・水が満タンに入ったベネディクトのためのボトルが、下手QC Room、下手舞台袖、上手QC Cubicle A、そして上手舞台袖にあることを確認する。
・ベネディクト用の縄跳びロープと靴脱ぎ器(boot jack)が上手QC、Cubicle Aにあるか確認する。
・午後7時にベネディクトがステージに上がってきてウォームアップを行う。ウォームアップを終わった後、彼のスリッパとドレッシング・ガウンと縄跳びを受け取る準備をして舞台袖で待つ。
・午後7時15分にベネディクトはプレショウを始める。彼のドレッシング・ガウン、スリッパ、縄跳びロープを上手QC CubicleAに入れる。
・開演10分前、ベネディクトのラベンダー色のまだらズボンと黒のボクサーブリーフを集め、上手舞台袖に行き、最初の衣装替えの準備をする。音響スタッフのTashが彼のシャツを持って既にそこで待っている。
水の入ったペットボトルが準備されているかどうかをチェックするのも衣装スタッフの仕事の1つ?!
劇場が開くのは開演15分前、ベネディクトが革張り装置の中に入ってプレショウを始めてからです。
…続く。
衣装スタッフの資料を見ると、衣装替えの大変さが文字だけから十分伝わってきて、上演中の舞台袖は戦場なんだな~と思いました。その戦場具合は続きにて。