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ベネディクト・カンバーバッチ、2013年1月にラジオドラマ『COPENHAGEN』でハイゼンベルクを演じる

今更ニュースですが、ベネディクト・カンバーバッチが、量子力学(量子物理学)で有名なハイゼンベルクをBBC3のラジオドラマ『COPENHAGEN』で演じます。放送は2013年1月。

※【注意】
この「COPENHAGEN」という作品は、原子爆弾製造に一部関わるお話です。原爆開発に関わった物理学者達の対話劇ですので、関連する用語も多く出てきます。そのようなストーリーなら触れたくない、と思われる方はご注意ください。

原作はマイケル・フレインの戯曲。2000年にトニー賞を受賞しており、日本でも新国立劇場で上演されています。この作品はものすごく難しいけれど個人的に大好きな作品です。

なぜ、ハイゼンベルクは1941年にニールス・ボーアを訪ねたのか。

ハイゼンベルクはドイツ人物理学者。ニールス・ボーアはユダヤ系デンマーク人物理学者。原子爆弾の開発に関わっていたハイゼンベルクが1941年、コペンハーゲンに居るボーア夫妻を訪ねた、という史実をもとに繰り広げられていく3人の対話劇。

ユダヤ系のニールス・ボーアはナチに監視されており、ナチに迫害されており、コペンハーゲンはナチの占領下にある。かつては父と息子のように固く結ばれていた愛弟子であったとしてもハイゼンベルクとは以前のような師弟関係ではなく…。そのボーア(と妻マルグレーテ)を、なぜハイゼンベルクは訪ねたのか。その問いに対して色々なアプローチがあり、すべてが対話形式で進行。研究者のエゴとかプライドとか、それぞれの祖国への思い(片や占領側、片や披占領側)、諸々。

このお芝居、たった3人だけで進行します。TVドラマでは、スティーブン・リー、フランチェスカ・アニスがボーア夫妻を、ダニエル・クレイグがハイゼンベルクを演じていました。

たった3人で、時間軸を行き来し(死んだ後で振り返っている設定だったかと)、U235(ユーツーサーティファイブ。ウラン235)がどうたら、アインシュタインがどーたら、「不確定性原理」だ「相補性原理」だ……。

物理学の知識、核分裂やら原子爆弾やらの知識がないと、「は…………い?」と目が点になること間違いなしのストーリーであることは、字幕なしでこの物語のTVドラマを観た管理人が太鼓判を押します(^_^;; 

ドラマを観たのは5年ほど前。核分裂や核爆発とは何ぞや、U235とはなんぞやなど、3.11以降耳にすることが増えた単語も当時はそれほど日常的ではなかったため、ほんっとに難しかったのです。つまりは原子爆弾の原理、なぜにあの爆弾はあんなにも威力があるのか、そして桁外れのエネルギーもさることながら放射性物質を遺していくことがどうよろしくないのか、その辺の知識がある人間にコンコンと講義してもらいました。U235はウランの同位体の1つで、238と違って不安定で核分裂しやすいとか。だから原子爆弾に使われたとかetcetc。(昨年来日本でも耳にすることが増えた用語達ですが、いかに自分が正確に理解していないかを痛感させられました。もちろん、そんなこと気にせず単純に観て聴くだけもありかと思います。)

そりゃ、原子爆弾開発に関わったくらいの物理学者なんですから、物理学用語が並ばないわけがないのですが…。彼らの唱えた「不確定性原理」や「相補性原理」やら、文系街道まっしぐらの人間には号泣もの。

BBC3のラジオドラマがどのような構成になっているかは分かりませんが、フレインの戯曲をベースにしているのであればそれほど大きく変わりはしないかな?と思います。その場合は…ベネディクトの声が催眠効果を帯びそうな予感。

共演者はSimon Russell BealeとGreta Scacchi。この2人がボーア夫妻を演じ、ベネディクト・カンバーバッチがハイゼンベルクを。すっごく濃厚な作品になる期待大。

ただ、蛇足ではありますが、原子爆弾を食らった日本人からすると、「びみょーー(--;」な後味が残る可能性が大きいかもしれません。彼らにとっては戦争に勝つことが目的で、そのために原爆を開発していたわけで、原爆が何を起こし、何を遺し、何を生み出すのかという道義的な部分は…ない、と管理人が感じた部分が確かにありました。戦勝国ですからね、英国って(ぼそっ)

余談ですが、↑このような道義的部分を呟いたところ、管理人にコンコンと物理学の講義をしてくれた人に苦笑されました。「開発当時は原子爆弾が膨大なエネルギーを持つものになるだろうと分かっていただけで、放射能が人体にどんな影響を与えるかとか、核爆弾を使ったら何がどうなるとか、そんなところまでは全く分かってなかったんだよ。とにかくものすごい威力を持つ核爆弾を自国に使われたら終わりだから、相手よりも先に持とうとか開発しようとかそうなるわけで(それが戦争というもの)。放射線の影響だとか、爆発だけでない暗黒面は、原爆(核爆弾)を落として初めて分かったことがほとんど。だからアメリカはせっせとデータを集めたんじゃないか」 うーむ。スパッと切り離すのは時として難しいですねぇ…。とにかく、原作は1941年のことを話題にしているので、1945年のことは横に置いて鑑賞する必要が。

和訳&Michael Fraynの原作ペーパーバックも出ています。

ラジオドラマ情報のソースは以下。

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