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[舞台]NT LIVE『Frankenstein』2012年6月にアンコール上映!ダニー・ボイル演出、ベネディクト・カンバーバッチ&ジョニー・リー・ミラーW主演

DVD発売を望む声がかなり寄せられていると思われる、舞台『Frankenstein』。ダニー・ボイルが演出を担当、ベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーが交互に2人の主演、ヴィクター・フランケンシュタインとthe Creatureを演じた、異例の試みの作品。

NT(英国王立劇場:The Royal National Theatre)は、2009年よりいくつかの上演作品を録画し、映画館で上映するNT Liveというプログラムを持っていますが、『Frankenstein』のアンコール上映が今年の6月に決定しました!

Frankenstein_ntlive_encore2
Frankenstein_ntlive_encore

National Theatre Live Frankenstein Screenings

Encore screenings of Frankenstein will be taking place during the summer.The sold out production will be returning to cinema screens. 

詳細は近日発表とのこと。ただ、日本の映画館や劇場はNTと契約をしていないと思うので、見られる確率はまずないと思われるのが残念です。

ちょうど1年前の2月から5月までNTで上演された『Frankenstein』。ベネディクトは途中、ひどい風邪をひいたり(お腹にくるタイプで6人が休演)、声が出なくなったりと数回休演してアンダースタディを立てていました(^_^; 

ラジオドラマ『Cabin Pressure Series3』の公開録音も重なり、それはそれは多忙だった様子。舞台がはけたらすぐに『SHERLOCK/シャーロック』シリーズ2の撮影に、BBCのドキュメンタリドラマ「The Rattigan Enigma」の撮影も千秋楽翌日あたりに。NTに通ったのがつい最近のように思いますが、もう1年経つのですねぇ…(遠い目)

NT Liveの新しいTrailer、何ヵ所か『Frankenstein』の映像も入っています。特に0:54あたりは、ジョニーのthe Creatureと、ベネディクトのthe Creatureの両方がちらっと見られますv

この後は、ちょっとネタバレが入るので、OKな方のみどうぞ。

★ネタバレ注意★

1)ジョニーのthe Creature&ベネディクトのヴィクター・フランケンシュタイン。
2)ベネディクトのthe Creatureとジョニーのヴィクター・フランケンシュタイン。

1日ずつ交互に役を変えて演じていたわけですが、ベネディクトのthe Creatureは舞台通の方々には評判が悪く、結構メタクソに言われていました(苦笑)

確かにハマっているのは1のバージョンで、冷血無比で人の心なんてなくて、究極の天才ですべては自分の野望の為にある、というフランケンシュタインをベネディクトはそれは見事に演じたわけですが、管理人は逆のバージョンもあれはあれでいいなぁと思っています。

脚本や舞台感からかけ離れすぎていれば、必ず演出家が「それは違う」と言うはずで。演出家と役者、納得がいくまで話し合って創り上げていくものだと思うので、ベネディクトのthe Creatureが一線を越していても、多分、ダニー・ボイルがそれで良しとした舞台だったと思うのです。

人体パーツの寄せ集めで創られたthe Creature。彼が動き、走り、声を発することを知ったthe Creator/Masterのヴィクターは、生まれ落ちたばかりのthe Creatureに驚き、その醜さを嫌悪し、彼を打ち捨てて逃げて行ってしまった。その後、外見の醜さから人から追われ、犬から吠えられ、時にはボコボコにされて、疑問と猜疑と憎しみの塊になりかけていたthe Creatureに知識を与えたのは、彼の外見が見えないが故に彼の心だけに触れた盲目の老人。

アルファベットを教え、歴史を教え、人間の愚かさを教え、文学を教えた老人との交流はthe Creatureに愛に近いものを教えかけたものの、老人の息子夫婦がthe Creatureを害なす者として追い払ったために、裏切られた心は憎しみに染まり、受け入れてくれた老人もろとも燃やし尽くすことに。

とにかく、自分を棄て、自分を愛さなかったthe Creator/Masterであるヴィクターへの復讐だけを胸に抱いたthe Creatureは、ヴィクターの大切なものを奪い、ヴィクターとたった2人の終わりのない旅を続けていきます。

ベネディクトのthe Creatureはその高い身体能力がフルに生かされて、本当に<外見はグロテスクだけど身体能力と知能は人以上>なキャラクターになっていました。純粋さを始め、見についている素質がどれもこれも高いが故に、一線を越してしまっている危うさのようなもの。イってしまっている感が迸る感じ。このthe Creatureはきっと老人と息子夫婦を焼き殺したことをかけらも後悔していなくて、むしろ当然くらいに思っていそう。

翻ってジョニーのthe Creatureは、外見は化け物だけれどピュアなハートを持ち、人としての最後の箍、常識のようなものを残しているような、怒りに任せて取った行動が、the Creatureにとっても傷になったようなそんな感じ。自分の事だけでいっぱいになりきれない、地に足がついているthe Creatureなイメージでした。(ベネディクトのは、足は地についてなくて空中から見下ろしてるイメージ・笑)

ケチョンケチョンにされているベネディクトのthe Creatureですが、あれはあれでダニー・ボイルも楽しかっただろうなと管理人は思います。観ている方も、昨日と今日で作品のイメージがガラッと変わり、昨日は分からなかったキャラの行動が今日はものすごく良く分かることになって作品の理解度とか印象もどんどん深まっていくものでした。

お包み(爆)付とは言え、NT Archiveに行けば『Frankenstein』はどちらのバージョンも映像で鑑賞できるので、ロンドンに行って時間がある方は両バージョンを鑑賞されることを強くお勧めします。

あぁ、ヴィクター。君はエリザベスが好きだったのにね、、、、と思った1時間後、おい、ヴィクター。エリザベスは君の標本なのか?と思いますから(笑)

わざわざ、日替わりで演じるキャラクターを変えるなんて突拍子もないことに挑戦した制作陣と俳優陣の心意気は見事に形になっていると思いました。再演は難しすぎてないかもしれませんが、5年後とかに観てみたいですね~。

6月、ベストシーズンのロンドンへ行かれる方は日程が合えば是非☆。

ただ、舞台では一糸まとわぬ30分でしたが、流石に映像ではしっかり布が巻かれていたそうですので、それだけがちょっと残念?

※管理人は全体のバランスがとか舞台装置がなど批評家視点ではなく、人物に感情移入してしまうタイプなので、上記感想etcはすべて個人的なものです。目の肥えた舞台goerではありませんので、あしからず。

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