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舞台『Frankenstein』100%ネタバレレポート その1

まだ余震が続く関東地方です。ロンドンから帰ってくるのが1週間ズレていたら、きっとあの(久々の、そして二度とゴメンだと思っていた)揺れにも合わなかった…と思うと何やら不思議な気がします。

ということで、プロモーションスチールもスクリプトもあるので、あれこれ思い出し、余韻に浸りながら、舞台『Frankenstein』の100%ネタバレレポートを始めます。4~5回に分けてのレポになると思いますので、続きがすぐに上がらない場合はのんびり生暖かく待っていてやってくださいませ。

鑑賞:2011年3月
場所:National Theatre - Olivier Theatre
監督:ダニー・ボイル
脚本:ニック・ディアー
スコア:Underworld

The Creature:ベネディクト・カンバーバッチ/ジョニー・リー・ミラー
Victor Frankenstein:ジョニー・リー・ミラー/ベネディクト・カンバーバッチ

以下、100%ネタバレです。
※初見時の感想をそのまま持ってきている部分があるので、一部ダブっています。
※2人がそれぞれThe CreatureとVictorを演じているので、スチールも2種類あって、入り乱れます。シーンごとに役が違ってる場合がありますが、自分で撮ったものではないので(当たり前ですね)、ご容赦を。

★★!!ネタバレ100%!!★★

開演15分前に開場。舞台中央の回り舞台に、革(ゴム)を張り合わせた円形の装置(薄い円形の膜みたいな感じ。貼り合わせてあるので前から見ても後ろから見ても中は見えない)が立っていて、回り舞台と一緒にゆっくりと回転。

中央の通路上空に、鐘(400年もの)が吊るしてあり、係が何かのタイミングでそれをゴーンと鳴らす。かなり大きな音なので、2階席最前列にいると耳が辛い…。

舞台は中央部分が中央通路に繋がるように張り出しており、ここからキャストが現れることもある。

ゆっくりと回転する革張り装置の中に、おぼろげな人影が。

最初は<人影?>くらいだったものが、中から革を押す手の形が見えたり、革に押し付けられる足やお尻の形がはっきりと分かるように。(特にBennyがthe Creatureを演じる時は、いろいろな姿勢を取って動き回ってます)

丸い革張りの袋のようなものは子宮で、中にいるThe Creatureは胎児の状態を表しているような感じ。最初おぼろげだった影が徐々に人の形になっていくのも、手の指などのパーツが見えるようになるの も、中から身体のいろんな部分を押し付けてくるのも、それが部分的に見えるのも、胎児の成長過程を思い浮かべさせる。形がクリアになればなるほど、生れ落ちる時が近づいていることを知らせているよう。

鼓動のような音&リズムを含んだBGMが劇場内に流れている。

鐘が何度か鳴り、客席の照明が落ちると物語の幕が開く。

<シーン1>
客席上は、多数の電球を取り付けた照明装置が吊るされている(この重量は相当なものらしい)。 稲妻を連想させるような白い光がこの照明から発せられ、それを合図に、張り合わせたゴム膜の重なった部分から、the Creatureの上半身が現れる。

円形の装置の中には、へその緒を連想させるような紐が内部にぶら下がっており、the Creatureはこれを後ろ手で握って支えにして上半身を膜から出すような形で揺れている。

また白い光。the Creatureの身体が2/3ほど現れる(どれくらい出てくるかは毎回変化)。

また白い光。the Creatureの全身が、ゴム膜袋の中からドサリと出てくる。

The Creatureは、ホッチキスで留めたような、ざっくり縫い合わせたような痕が頭髪のほとんどない頭部中央を走り、胸部や足にも同じような醜い痕が多数ある。また、死斑のようなアザもいたるところにあり、とても…グロテスク。

Frank_3

生れ落ちたばかりのthe Creatureは、音にしかなっていない声を上げ、全身を痙攣させる。彼が背を反らせ、はっきり目を見開いたところで照明全開に。

<シーン2>
the Creatureが舞台上を這いずり回る。うまく力が入らないのか、関節が曲がらないのか、要領がつかめないのか。前に進みたいのに後ろに動いてしまう身体に苛立ちとも取れるような叫び声を上げながら、何かのはずみに上体を起こして座れるようになると、ぴくぴくと動く自分の足の親指を口元に運んでみたりする(←Jonny)

ハイハイが出来るようになり、安定して座れるようになると、次は二足歩行。試行錯誤の末に両足だけで立って歩くことができるようになるthe Creature。舞台上に走るレールに沿ってヨチヨチと歩いてみたり(←Benny)、嬉しそうな奇声を上げて舞台を走り回ってみたり(←Jonny)。

Frank_11

※両足で歩けるようになったのが嬉しいthe Creatureの仕草に、観客席から笑いが。the Creatureの仕草は、子供が成長する過程を想像させるものでした。寝返りが打てるようになって、ハイハイを覚え、座れるようになって、つかまり立ちができるようになる。自分がいろんなことができるようになったのが嬉しくて、(大人から見ると)意味もなく、走り回ったり見つけたものにこだわってみたり。6か月~1歳過ぎくらいの頃の子供そのものでした。

ひとしきり舞台上を走り回った後、自分が出てきたゴム膜張りの舞台装置に近づいたthe Creatureは、装置に躓いたような形でドテッと倒れ込み、しばらく装置と戯れた後、疲れたのか俯せのまま動かなくなる。

<シーン3>
中央通路から、黒いエプロンをかけたVictorが登場。ちょっとしたトイレ休憩から戻ってきたような感じ。舞台まで近づいて、the Creatureが膜から出ていることに気づき、驚いたような反応を。しばらくthe Creatureを遠巻きに眺めた後、the Creatureに近づいて肩を触る。途端、反応してthe Creatureがバタバタと動き、それに驚いたVictorは腰を抜かすような形でthe Creatureから遠ざかり、来るな!と言いながら後ずさっていく。

Victorに向かって這っていくthe Creature。“Keep away…no,” 逃げるVictor。Victorは壁にかかっていたフード付ガウンのようなものを取り上げてthe Creatureの頭に投げつける。視界を塞がれて動きを止めるthe Creature。

その隙にこけつまろびつ建物の中に逃げ込むVictor。ガウンと格闘していたthe Creatureがようやくガウンから頭を出すと、そこにはもう誰もいなかった…

※Victor登場シーン。BennyがVictorの時はかなり動きが細かいです。トイレ帰りのように白いタオルで手を拭きながら登場。目頭を押すような仕草がお疲れモードに見えます。the Creatureを見つけてギョッとし、遠巻きにいろんな角度から俯せているthe Creatureを観察した後、シャツの両袖をさらに捲り上げてthe Creatureに近づきます。手を拭いていたタオルをエプロンの胸ポケットにしまうことも忘れません。まるで、間違えて落ち出てきてしまったものを入れ直そうとするような、ちょっとした一仕事に取り掛かるようなそんな動き。そして、the Creatureが自分の方に這って来た時、オエッと吐きそうな動作を…。それだけthe Creatureが醜悪だってことでしょうかね。(でも、ジョニーのthe Creatureは見慣れてくるとワンコみたいでなんかかわいいので、オエッとするのはちと可哀そうかも…とか勝手なことを思ったalex)

黒いエプロンには赤いものがところどころにべったりついています。多分、血のイメージじゃないかと。

<シーン4>
舞台中央の壁部分から、列車のような舞台装置に乗った男女が出てくる。場所はドイツのIngolstadt(インゴルシュタット:現在では自動車メーカー、アウディの本社があるドナウ川沿いの町。脚本ではearly-industrial landscapeとなっているので、早くから産業が発達した町と思われる)。

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歯車、水蒸気、火花。メガホンのようなものを持って歌っている一団。the Creatureは好奇心に誘われるままに彼らに近づくが、台車下部から激しい火花が飛び散ったため、驚いて端に逃げうずくまる。(↑写真の坊主のようなのがBenny。この時はランタンみたいなやつをペシペシ叩きに行っていたと思われます)

一団は一列になって踊り、そこに1人の娼婦(グレーテル)が混じる。一団の中にいた1人の男がグレーテルを捕まえ無理強いしようとするが、the Creatureを見つけた彼女が“Thank you, sir.”と声をかけたため、男は手を止める。

the Creatureはさっきの彼らの踊りを真似ているのか、フードをかぶったまま彼らに近づき、手を上げてクルクル回って叫び声を上げる。男は気味悪がってグレーテルを突き飛ばすと逃げて行った。

解放されたグレーテルはワインを入れたフラスコを持ってthe Creatureに声をかける。the Creatureはいきなりしゃがんでグレーテルの下半身の臭いを嗅ぎだす。驚いたグレーテルがthe Creatureを軽く押すと、フードが落ちてthe Creatureの姿がグレーテルの目にはっきりと映った。

G:私は叫ばないから。これ(お酒)を置いて立ち去るから。いい、ミスター?

グレーテルはフラスコを地面に置き、the Creatureがそれに気を取られている間に静かにその場から離れ、後ろに下がっていた一団のところへ駆けて行った。

<シーン5>
フラスコの中身を飲んでみて、マズいらしい仕草をするthe Creature。列車のような舞台装置に上っていた1人の女性が、the Creatureを見つけて指差し、一団がthe Creatureを追い立てにやってくる。手に小さな何か(石のイメージ?)を持ち、それをthe Creatureに向かって投げつける。床に当たったそれはバチンと爆ぜ、the Creatureは怯え、暗がりに逃げていく。

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