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BBCドラマ『To the Ends of the Earth』ベネディクト・カンバーバッチ、サム・ニール

ベネディクト・カンバーバッチ主演、2005年のBBCミニ・シリーズドラマ『To the Ends of the Earth』をUS版DVDで鑑賞。

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ジャケットではサム・ニール(Sam Neill)が幅を利かせていますが、主人公はベネディクトが演じる、エドマンド・タルボットです。

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全部で3エピソードのDVD2枚組、約270分。alexが探した時にはUK版が在庫切れになっていたのですが、Sherlock効果かやっとUK版の在庫が復活した模様。PCで再生の方は間違いなくUK版を入手してくださいね。

英国海軍モノと言えば、『ホーンブロワー』が有名ですが、ホーンブロワーも大好きなalex、どこなく重なるなぁと思いながら海洋の旅を楽しみました。と言っても、半分はベネディクト演じるエドマンドのように「うえっ」となりましたが…

字幕なしでの鑑賞&約4.5時間の長丁場で、いろいろと聞き逃しています。ま、おおまかな流れさえ分かればいいよ、と思ってくださる方は、続きへどうぞ。

ネタバレするので、とりあえず続きに隠します。

『To the Ends of the Earth』。監督は、2年後にベネディクトとトム・ハーディの共演作『Stuart:A Life Backwards』のメガホンも取り、BAFTAノミネートを始めいくつかの賞に輝いたDavid Attwood。

この方、ベネディクトの魅力を引き出すのがとっても上手なのでは?と2本とも観てふと思いました。

~粗筋~
19世紀初頭。エドマンド・タルボットは名付け親よりNew South Wales(オーストラリア)の知事に任命され、オーストラリア行きの船に乗り込んだ。尊大な態度の船長アンダーソンに、負けず尊大な態度で自分の存在と地位を示すエドマンド。船には他にも何組かの上流階級の乗客がいた。

牧師のコリーはアンダーソン船長と衝突し、船の余興として甲板に即席で作られた簡易プールに沈められる。その後酔っ払ったコリーは男の船員達と性行為を持ち、それを恥じて自室に篭る。雑用係のウィーラーに促されたエドマンドは渋々コリーの船室へ行き「気にすることはない」と言うが、ハンモックに沈んだコリーはエドマンドに反応しなかった。仕方なく、船室を後にするエドマンド。

その後、あまりにもコリーが出てこないので、再び彼の船室を訪れたエドマンドは、そこで彼が死亡していることを発見し、己を恥じて死んだコリーに後日思いを馳せる。実はコリーが甲板でプールに沈められていた時、エドマンドは魅力的なゼノビアという女性と過ごしていた。肉感的な彼女に少し前から目が離せなかったエドマンドだったが、一戦を交えたあとは興味が薄れ、脱ぎ散らかした服を押し付けて彼女を自室から追い出していた。

霧が濃く立ち込めるある日、霧の向こうに船影が見えた。敵対しているフランスの船か、アメリカの船か…。どちらの船も進路を変えず、戦闘を覚悟して船は緊迫感に包まれる。エドマンドも、索具に取り付き、サーベルを抜いて交戦に備えた。

各自が銃や武器を構え、いつ火蓋が切って落とされてもおかしくない状態になった時、相手方の船が同じ英国籍の船Alcyoneであることが分かり、緊張感は一気に喜びに取って代わられる。相手方の船に招待されたエドマンドは、そこでマリアンという美しい女性に出会い、一目で恋に落ちた。また、その船には数日前から行方不明となっていた執事のウィラーも乗っており、彼は海に落ちて3日漂流した後、助けられたとエドマンドに話した。

マリアンに一目惚れしたエドマンドは舞い上がり、マリアンに結婚を申し込むが彼女はYesと答えない。エドマンドは強引に彼女の乗るAlcyoneに乗り込み、彼女の保護者代わりに結婚の許可を得ようとするが、船に戻され薬で眠らされてしまう。

気がついた時には既にマリアンの乗るAlcyoneとは遠く離れてしまったエドマンドは失意の中で航海を続ける。エドマンドの乗る船はマストが壊れ、氷山に向かって進んでいたが、ベネットによってマストは修復され、氷原に突っ込む危険は回避された。

長い航海の末、エドマンド達はようやくオーストラリアに到着する。しかし、エドマンドが陸に上がった後、船はベネットが修理に使った熱せられたままの楔(?)により火を噴き、全焼してしまう。エドマンドと仲の良かったサマーズは船と運命を共にし、彼を助けに行ったエドマンドは一命を取り留めるもあちこちに火傷を負う。

名付け親の訃報がもたらされ、エドマンドは将来を憂いる。そんな時、Alcyoneが着いたとの知らせが入り、エドマンドは浜辺へ駆け出していった。続々と上陸する乗客達の中にマリアンを探すエドマンド。彼は遂にマリアンと再会を果たすことができたのだった。

約270分のミニ・シリーズ(Sherlock3話と同じ長さですね)なので、実際にはもっとたくさんの事件やイベントがあるのですが、字幕なしで観たため限界もあり、とりあえずザクザクッとまとめてみました。

この物語でのBennyは、超上流階級の坊ちゃんです。船で一番偉いのは船長ですが、オーストラリアの知事(かな?)になるべくthe ends of the earthに向かっている彼は、船の中で一番階級が高く、同じ上流階級の「乗客」達の中でも一目おかれています。

しかし、まぁ、海に出てしまえば1つ船の中、上も下も本当はないのですが、階級による扱いと存在の差というものはすごいなぁ…と改めて思いました。

汚水の溜まる船底で暮らす船員達。広くはないものの、ハンモックと机、鏡もある乗客の船室。船員達がマストにぶら下がり、帆を張り、索具に取り付いている間、乗客たちはキャビンで豪華な食事を取り、昼間から酒を煽り、船長は自室でガーデニングを楽しむ。現代の、それも日本から見るとちょっと言葉に詰まる光景ではあるのですが、当時ではそれが当たり前だったんですよね…。

ブリッジは船長以下船を操作するメインスタッフの陣取る場所ですが、エドマンドはお構いなしにそこに上がりこみます。彼の階級ゆえ、船長もあまりあからさまに彼を追い出すことも出来ず、お互いが認め合うまで少々目の上のたんこぶ的な存在になっていました。

帆を畳んだり張ったり、というのは作業者が団結して迅速にやらなければ出来ないこと。エドマンドは何かと手伝おうとするものの、跳ねたロープに上半身を強打されて昏倒し、1人でも多く手が欲しい時にその手を煩わせる、「船室でおとなしくしててくれよ」な人になっていたり。

船長や船員からすると、怯えて船室にこもってくれていた方が断然楽だったんじゃないかと思われます(笑)実際、嵐の夜などには絶対に甲板に上がってこない乗客もいる中、何かあるとすぐに甲板に駆け上がってくるエドマンド。

演じるベネディクト自身が育ちがいいので、世間知らずな坊々も無理なく、ぴったりハマっていました。マリアンに一目惚れするところや、彼女に釘付けで周りがまったく目に入らなくなるところなどはホントに滑稽で。

かと思えば、棚に置いてあった石鹸に気づかず、服を洗っていなかったため湿疹が出来てしまったり。これが石鹸ですよ、と渡され、雨の夜に真っ裸でその石鹸を握り締めて甲板に上がり、服と自分を天然シャワーで洗って本人は大満足。それを後ろからにが~い顔で見ている船長以下操船メンバー達。公開シャワー&洗濯はちょっと勘弁して欲しいかもしれませんね(爆笑)

とにかく、このお話は過酷な航海とエドマンドの成長記録をかねているので、エドマンドを演じるべネディクトはとにかく出ずっぱりです。寝顔、船酔い顔、泣き顔、昏倒顔、などなど、百面相を堪能できること請け合い(笑) 決してコメディではないんですけどね[E:coldsweats01]

とにかく、たーっぷりベネディクトを堪能したいぞ、な方には自信を持ってお勧めできる作品でした。

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